記事担当:共立プロダクツ
ハンダ付け必須-非マイコン系


先月は「10cmユニット」を使った比較的「大型」のスピーカーシステムつくりを紹介させていただきましたが、今回は「6cmユニット」を使って「小型・高音質」なスピーカーをつくりました。
手ごろなサイズなので、塗装をして、リメイクシートを貼って市販品に負けない??外観に仕上げてみました。

ひとつのユニットで低音から高音まで全音域を受け持たせるものを「フルレンジユニット」と呼んでいますが、昨今は口径8cm~10cmが主流になっています。
ところが直近では口径6cmというユニットが出現して手づくりオーディオの世界を騒がせています。

ひと昔前なら「ツィータ(高音専用ユニット)じゃないの??」と思われてしまいそうです。
その「台風の目」となるのが、香港に本社を置く「マークオーディオ」社のユニットです。
外観はこんなカンジです。
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写真「左」は「CHN40」メタルコーンが採用されています。
「ONTOMO MOOK」の付録になったものが原型ですがスペックは同じです。

写真「右」は「CHN40Pmica」マイカ(雲母)を混沙したペーパーコーンが採用されています。
これも「ONTOMO MOOK」の付録ユニットが原型で同じスペックです。

メタルコーンは精緻でクリアな音が特長でハイエンドスピーカーを聴きなれた方にも違和感がない音質だと思います。
一方のペーパーコーンは明るく華やかな音が特長です。

ユニット取付穴径や取付ネジの位置は同じですので、好みの楽曲に合わせてチョイスできるのが嬉しいところ。


これらのユニットに対応するエンクロージャー組立キットが共立電子から新発売されました。
こんなカンジです。
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■品名:マークオーディオ6cmユニット対応
   バスレフエンクロージャー組立キット

幅110mm  高さ180mm  奥行き195mm  内容積は約2ℓと手ごろなサイズです。
CHN40は口径6cmながらFs(最低共振周波数)=97.5Hzと10cmユニットなみの低域再生能力を誇りますので厚さ15mmのMDF材を採用して充分な強度を確保しています。

バスレフダクトを後面に配した「リア・スリットバスレフ」方式を採用し、ダクトの共振周波数は約75Hzになるよう設計されています。
この周波数から低域がなだらかに減衰してゆきますので40Hz~50Hzまでは実用になるのではないか・・・と思います。

エンクロージャーの内部構造はこんなカンジです。
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このエンクロージャー組立キットとマークオーディオ「CHN40」を使って小型・高音質のスピーカーシステムをつくってみました。

エンクロージャー組立キットの梱包を開けたらこんなカンジです。
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組立キットに含まれないものは自分で用意する必要があります。
スピーカーガード以外のものを近所の100円ショップ「ダイソー」で買ってきました。
スピーカーガード」は本キットのオプションパーツですので「共立エレショップ」(★8cmユニット用 スピーカーガード(2台1組) / WP-SG08)で購入できます。
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手芸わた」は「吸音材」として使用します。
リメイクシート」は「壁紙」の小サイズバージョンで「花柄」や「レンガ柄」「木目柄」などいろんなものが揃っていますので、自分の好みに合わせて、インテリアに合わせて選ぶことができます。
まさしく「世界にひとつ」のスピーカーをつくるための強い味方です。

私は、自宅マンションの内装が「白色」ですのでモノトーンにしたくて、「黒色の木目模様」のものを選びました。
ペイントも「黒色」にしました。


このキットには、すべての組立工程をカラー写真で解説したわかりやすい「組立説明書」がついています。
こんなカンジです。
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この説明書を見ながら1台あたり「7枚」の板材を接着して組み立ててゆきます。
組み立てが終わったらこんなカンジです。
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ボンドが固まるのを待って次の作業にすすむのですが、2台同時に組み立てて約2時間くらいかかりました。

組立説明書では、この次に「ターミナル」と「スピーカーユニット」を取り付けて完成する・・・というストーリーなのですが、今回は「塗装」して「リメイクシート」を貼って仕上げることにします。

まず、「サンドペーパー」ですべての「角(カド)」に「丸み」をつけます
こんなカンジです。
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サンドペーパーを適当な大きさの「木片」に巻きつけると作業がラクになります。
サンドペーパーには「目の粗さ」が数字で表示されています。
60番⇒100番⇒240番⇒400番の順で磨いてゆきます。
板材の切断面も100番⇒240番⇒400番の順で磨きます。


次に「水性ペイント」で塗装します。
全面に塗装してもよいのですが、私は手抜きして、リメイクシートを貼るところは省略しました。
塗装が終わったらこんなカンジです。
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次に「リメイクシート」を貼ります。
まず「リメイクシート」を幅185mmにカットします。(エンクロージャーの奥行きマイナス10mm)

「継ぎ目」が見えないように「底板」の中央付近から貼り始めます。
「側板」⇒「天板」と貼りすすめてゆきます。
こんなカンジです。
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気泡が残らないよう「タオル」などで空気を押し出しながら貼ってゆきます。

「リメイクシート」を貼り終わったらこんなカンジです。
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次に、「底板」に「床キズ防止フェルト」を貼ります。
こんなカンジです。
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次は「裏板」に「ターミナル」をネジ止めします。
こんなカンジです。
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次に、スピーカーユニット取付穴から「吸音材」を入れます。
こんなカンジです。
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詰め込みすぎると容積が少なくなって低音が出なくなるので「ふんわりと浮いた状態」にするのがコツです。

次は、いよいよスピーカーユニットを取り付けるのですが、まずスピーカーユニットに付属している「パッキン」を貼り付けます。
こんなカンジです。
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次に、「スピーカーケーブル」を配線します。
こんなカンジです。
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スピーカーユニットの端子の「極性」に注意しながらファストン端子を差し込みます。

最後に、スピーカーユニットをネジ止めします。
こんなカンジです。
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1本のネジを一度に締め付けず、「対角線」の順に少しづつ締め込んでゆきます。


スピーカーユニットを取り付けたらこんなカンジです。
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この状態でも良いのですが、メタルコーンはキズが付いたり凹んだりすると修復ができないので「スピーカーガード」を取り付けて外部の衝撃からユニットを守れるようにしました。
こんなカンジです。
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バスレフダクトが正しく動作しているのか確認するために「インピーダンス」を計測してみました。
こんなカンジです。
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このグラフからバスレフダクトの共振周波数は約75Hzであることが確認できました。
ここから低域に向かってなだらかに減衰してゆきますので、40~50Hzくらいまでは実用になりそうです。

自宅システムの仲間に入れて試聴してみました。
こんなカンジです。
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音源機器はいちばん左に映っているオーディオ専用パソコン組立キット「WP-APC3」です。
シングルボードコンピュータ「Raspberry Pi」に「タッチパネルディスプレイ」と「DAコンバータ」を組み込んだもので、USBメモリに取り込んだ楽曲データをアナログ信号に変換して出力します。
数100曲の中から聴きたい曲をタッチパネルで瞬時に選曲できるのが便利です。

アンプは小型送信管「801A」をつかった自作の無帰還シングルアンプ
このスピーカーユニットの設計者でもあるマークオーディオの創業者「マーク・フェンロン」氏はこのユニットを愛用されていて、小出力の真空管アンプでドライブされている・・・という話を聞いたことがありますのでマネをしてみました。

本機の下にあるのが米国「Klipsch」社製の14cm 2WAYブックシェルフ。
右端にあるのが米国「THIEL」社製の16cm2WAYトールボーイ。
これらの新世代スピーカーと比較試聴して本機の実力を探ります。

無理を承知でパイプオルガンを再生してみました。
「トッカータとフーガ ニ短調」の冒頭部分の超低域を信じられない迫力で再現します。
カラダ全体に感じる「風圧」さえ望まなければ充分使いものになると感じました。
(もっとも、マンションの一室では許される音量に限りがありますので風圧を感じるのは所詮ムリなハナシです・・・)

ジャズからポップスまで幅広く試聴してみましたが、フルレンジの弱点といわれる解像度も2WAY機にまったく引けを取りません。
6cmという小口径がなせる技なのでしょう。

当初はそのサイズからサブシステム用としてベッドルームなどに最適かも・・・と思っていたのですが、メインシステムとしても充分実用になる・・・と感じました。
6cmユニット恐るべし!!


このブログをキッカケに、小型・高音質スピーカーの魔力にハマッていただくことができましたら幸いです。


(記事:OGU)
更新予定:毎週木曜日(次回は8月22日です!)