記事担当:共立エレショップ
[ハンダ付け必須-非マイコン系]
(記事:TOY)
更新予定:毎週木曜日(次回は3月28日です!)
[ハンダ付け必須-非マイコン系]
皆さん、SDGs(エス・ディー・ジーズ)という言葉はご存じですか?
叫ばれ始めたのが2015~2016年頃からなので、いまや聞いたことがないという人は少ないのではないでしょうか。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは「持続可能な開発目標」という意味で
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。
貧困をなくす、質の高い教育をみんなに、人や国の不平等をなくそう、海の豊かさを守ろう
など17個の目標を、2030年までに達成をめざしています。
そして、SDGsの17個の目標(ゴール)のうちの一つに
「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」というのがあります。
すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保するのが目標ですが、それに適しているのがエコエネルギー、再生可能エネルギーとも呼ばれるエネルギーです。
再生可能エネルギーとは、石油や石炭、天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーとは違い、
太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーのことです。
その大きな特徴は、「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない(増加させない)」の3点。
石油や石炭のように無くならないので、ずっと使える(持続可能)ですし、
「どこにでも存在する」ので、他の国に頼らず、世界中すべての人が利用しやすく
「CO2を排出しない」ので、クリーンなエネルギーです。
(1)太陽光、(2)風力、(3)水力、(4)地熱、(5)太陽熱、
(6)大気中の熱その他の自然界に存在する熱、(7)バイオマス(動植物に由来する有機物) の7種類のうち
今回は風力を利用したエネルギー、風力発電について学べるキットをご紹介します。
キットの中身はこんな感じで、それほど難しくはない感じですね。
ではさっそく、中に入ってる組立説明の通りに作っていきましょう。
まずは、型抜きのようになっている木材から台座の足の部分4つを取り出して組み上げます。
それぞれの穴にはめ込んで組み立てるのですが、台座を安定させるためか簡単にバラけないように
結構差し込むのがきついです。
ゆっくり、しっかりはめ込まないと、雑に扱うとこうなります。。。
ま、まぁこれくらいなら、木材ですので木工用ボンドで接着すれば大丈夫!
で、台座の足は完成。
台座も取り出して、先ほどの台座の足をはめ込みます。
しっかりした台座ができたら、モーター取付板もはめ込みます。
お次はモーターとコネクタをつなげます。
先っぽのビニール被膜は簡単に取れますので、この状態にして
黒と黒、赤と赤どうしをより合わせます。
付属の組立説明には、このままゴムキャップをかぶせて接続完了となっているのですが
そんなので満足はできません。
そう、電子工作に慣れ親しんだ我々には、銅線はハンダでつなげるのがスタンダードのはず!
2本ともハンダ付けをして
ハンダ箇所は、むき出しにせずゴムキャップをかぶせます。
で、出来上がったモーターをモーター取付板にはめ込みます。
コネクタも下の穴に入るので、入れてください。
結束バンドがあるので、ケーブルが邪魔にならないようにモーター取付板に固定します。
最後にプロペラをモーターの軸に取り付けて
LEDをコネクタに差し込んで完成!
そんなに難しいキットではないので、ハンダ付けをしなければ人によっては5分くらいでできると思います。
では実際にプロペラに風を当てて、LEDが光るか確認しましょう。
LEDは+と-があるので、さす方向を間違えないように注意。
外に持って行ってもいいですが、たまたま強風が吹いてるとも限らないのでお口でフーフーします。
ちゃんとLEDが光ってますね!
台座がしっかりしているので、このくらい光らせる程度なら倒れる心配もなさそうです。
組立説明には、風力発電機の仕組みも図を交えて描かれていますので
仕組みの勉強もできるようになっています。
簡単に説明すると、モーターが回ることで中の磁石がコイルに近づいたり離れたりして、電磁誘導という仕組みでコイルに電流が流れるんですね。
さて、キットは完成し動作の確認もできました。
これからは、実験のお時間です!
まずは、LEDをもっと明るいものに変えてみましょう!
明るいは正義です!
今回は日亜化学の緑の高輝度LED(★NSPG500DS)をチョイス。
ところが、フーフーしますがなかなか光りません。
キットに元から付属の赤色LEDは、2Vくらいで光るのですが
チョイスした緑の高輝度LEDは3V必要です。
もっとパワーを!
ということで、本気でフーフーすると。。
こけちゃいました。
本気のフーフーで倒してしまいましたか。
大人げないとはこのことですね!
ってことで、台座に重しをのせて本気のフーフーにたえれるようにしてあげると
やったぜ、あっかるーい!
ちゃんと3VのLEDでも光らせることができました。
でも、光るだけじゃ物足りない!
実際にこの風力発電キットをどう使おうかと考えたときに、風の強い日センサーとかどうだろうと思ったわけです。
でも光ってても、気づかない可能性はありますよね。
ってことで今度はブザーを鳴らしてみようと思います。
先ほどは3VのLEDを光らせるのに結構大変だったので
今度は1.5Vで鳴るブザー(★LF-MB12B01)をチョイスしました。
でも足の間隔は広く、そのままではささらないので、両端にミノムシクリップのついたケーブルでつなぎます。
このブザーも+と-があるので間違えないように。
ここで、フーフーは疲れてきたのでサーキュレーターに登場してもらいました!
強風を想定しているので、実験のたびにフーフーは頭が痛くなってくるのですよ。。
扇風機とか、ウチワでもいいかと思います。
では、実験開始!
※音注意
んんー?
音小さいし、なんか変な音?
このブザーの本来の音は、こんな感じの音なんです。
さて、なぜこんな変な音なのか。
その答えは、電気の直流と交流にありました。
モーターの電磁誘導で得られる電気は、交流になります。
これは、モーターが回ることで中の磁石がコイルに近づいたり離れたりすることで電気が得られるのですが、磁石が近づくときと、離れるときは、起こる電気の向き(電流の向き)が変わります。
ですので、交互に+の向き、-の向きと電流が流れるわけです。
このブザーの必要な電源は直流1.5Vなので、+の向きに電流が流れてるときは音が鳴り
-の向きに電流が流れているときは、音はなりません。
この鳴る、鳴らないを短い時間で繰り返しているために変な音になり、音も小さくなってしまっているのです。
というわけで、電気を交流→直流にかえてあげればブザーの音もマシになるはず。
交流から直流に変換する回路をつくります。
使用するのは、ブリッジダイオード。
ダイオードが中に4つ入った構造で、+の端子から+の電流が、その向かいの端子から-の電流が出力され、あと2つの端子は入力用の端子で交流の電流を入れてあげます。
交流の電気を流すので、入力用の2つの端子に向きはありません。
このブリッジダイオードと、コンデンサを使って「全波整流回路」を作ります。
交流→直流に変換する回路には、半波整流と全波整流とがあり、どちらもダイオードの正方向しか電流を流さないという特性を利用して整流を行います。
半波整流はその名の通り、ダイオード1つで電気の向きが逆向き(-)になったときには電流を流さず、+のときだけ電気を流すので、半分の波(-になる波)を打ち消して、電気を流す→流さない→流すの繰り返しになります。
全波整流はダイオード4つでブリッジ状に回路構成することで、電気の向きが逆向き(-)になった時も+に反転して出力します。
全部の波を+だけにして、電気を流します。
回路図としては、こんな感じ。
入力の交流の電気は①の状態で、波が+と-を繰り返しています。
この交流の電気が、ブリッジダイオードに入力されると、-の波は反転して+の波になり②のような波が出力されます。
最後にコンデンサに充電してから電気を取り出すことで、波のへこんだ部分が減り③のような波になります。
出力のコンデンサの数を増やしたり、出力電流に合わせてコンデンサの容量を計算してしてあげると
波はもっとまっすぐになり、直流に近くなります。
そして完成したのがコチラ。
この回路を、風力発電キットとブザーの間に入れて、再度の実験!
※音注意まぁ、選んだコンデンサも適当ですしこんなもんですかね。
回路を入れる前よりかはマシな音に、音の大きさも大きくなったと思います。
今回の風力発電組立キットは実験・学習用ですので、得られるエネルギーも少なく実用的とは言い難いです。
では、もっと大きなエネルギーを得るにはどうすればよいのか
大きなモーターを使う、プロペラを大きくする、発電機を2台・3台と並べて使う、
直接電気を使うのではなく充電池にためてから使うなど、いろいろ考えてみるのも面白いと思います。
みなさんも色々試してみてくださいね♪
(記事:TOY)
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