記事担当:
ハンダ必要-非マイコン系


世の中に不思議な事というのは無数にございます。
世○ふしぎ発見!が何十年も続いているのがその証左でございまして、もちろん電子工作の世界にも色々と不思議はございます。
そんな不思議の中から、本日は『知ってはいるけどホントかどうか疑わしい』事柄について実験してみたいと思います。
それがこちら。
理科の実験でもおなじみエナメル線
ポリウレタン銅線でございます。
いわゆるエナメル線いうヤツでございまして、小学生の頃理科の実験で遊んだ人も多いのではないかと。

このエナメル線、銅そのモノのように見えますが、その実表面にはエナメル質が焼き付けられており、絶縁された配線材なのでございます。
よくモーターの中身ですとかイヤホンの配線材などにも使われており、グルグル巻いても隣の線に電気がもれないのでコイル状にして使用されたりもしております。

さてそんなエナメル線の中でもこのポリウレタン線というのはちょっと特殊でして、なんとそのエナメル質(ウレタン樹脂のワニス)はハンダ付けの際ハンダの熱で溶けて流れるので、表面をヤスリなどで削る必要が無いんだそうです。

小学生の時理科の実験ではエナメル線を紙やすりで削って使用しておりましたが、そんな面倒な処理をせずともハンダ付けするだけで導通するとは・・・
電子工作をしていると常識的に知っている事実なのではございますが、ホントにそんな簡単に使えるものなの?と言う疑念も拭えません。

と言う訳で本日は。
実際に試してみることにしました。
用意した部材はこれだけ。
エナメル線でつないでLEDを光らせる実験
机の引き出しに転がってた電池BOXとLEDとエナメル線。
電子関係の会社の机なら普通に転がってるものばかりでございます。
つまりは電池BOXとLEDをエナメル線でつなぐとちゃんとLEDは点灯するのか、と言う実験でございます。

まずは回路の確認
まずはLEDの点灯実験
と言っても電池BOXの赤線をLEDのアノード(+側)に、黒線をカソード(-側)に繋ぐだけ。
LEDは3Vタイプの白色LEDを使用しているので、アルカリ乾電池2本を直列にすれば光る訳でございます。
確認はICクリップを使用いたしました。
勿論LEDは点灯いたします。

次にこのICクリップでつないだ部分をポリウレタン線に置き換えます。
実際に配線してみた
ポリウレタン線は巻きつけただけ。
解りやすいようにポリウレタン線の途中で巻いております。端っこはフリーの状態。
勿論この状態ではポリウレタン線は絶縁されておりますので、電気は流れずLEDは点灯いたしません
もちろんこのままでは点灯しない

ではポリウレタン線を巻きつけた部分をハンダ付けしてみましょう。
ハンダ付け完了
思ったよりもハンダのノリが悪くて苦戦しました。
ハンダが汚いのはご愛嬌
今回は細いポリウレタン線を使用したのでなんとかなりましたが、太めのポリウレタン線を使った場合はもっと火力の強いハンダゴテを使う必要があるかもしれません。
ポリウレタン線はエナメル部分を溶かした上で銅線部分を温めないといけないので、あらかじめポリウレタン線をハンダ上げするとか、ハンダゴテを当ててエナメル質を溶かしておいたほうが作業しやすかったようです。

では電池を入れてみましょう。
バッチリ点灯しました!
おお、ホントにLEDが光ったw
ちゃんとエナメル部分が溶けて導通したようです。

改めて考えれば当たり前の話で、もしちゃんとハンダでエナメル部分が溶けなかったら大問題ですからね。
でもまぁ、こうして実際に試してみたら納得もひとしおでございます。

前回は配線材の被覆を剥き取るワイヤーストリッパーの紹介をしましたが、基板裏などスッキリと配線したい場合は被覆を剥く必要がないポリウレタン線を使うと良いかもしれません。
この他、例えばLEDを並列に沢山並べたい場合とかでも、ポリウレタン線なら簡単にLEDを追加していくことができますからね。
普通のビニル電線では難しいこともポリウレタン線なら簡単にできるかもしれませんよ。


みなさんもぜひ便利でキレイなポリウレタン線を使いまくってくださいね!



(記事:伊東)
更新予定:毎週木曜日(次回は2月24日です!)