記事担当:
ハンダ不要-非マイコン系

電子工作キットを頑張って作って遊んだり便利に使ったりアレやコレやしていると、どうしてもガタが来ます。
よくあるのは電池BOXをつないでいる配線が切れる、というトラブル。
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基板に直接ハンダ付けしている時の弱さは言うに及ばず、圧着コネクタに付いている配線も意外と切れやすかったりします。
こう言う場合、根本からブツリと切れているものですから、そのままでは再使用できません。
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どうにかして配線の被覆を剥いて電線を露出させないといけないのですが・・・

さて、貴方なら何を使って被覆を剥きますか?

爪・・・は工具ではないので除外することにして、例えばカッターナイフ。
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ご家庭にも事務所にも比較的よくある工具ですし、電工ナイフなんて言う被覆剥き用のナイフも存在するので使ったことがある人も多いのではないかと。
カッターの刃に電線を当て、軽く指で抑えて転がして切れ目を入れて。
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キュッと引っ張れば被覆が剥けます。
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手軽ではあるのですが、電線が細くなればなるほど力加減が難しく、中の導線まで切ってしまうこともしばしば。
器用さのパラメーターが低めの私なんかは切れ目が螺旋状になってつながらず、結果キレイに被覆が剥けない、なんてこともよくございます。

となると次に思いつくのはニッパー
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これも比較的工具箱にいる確率の高い工具です。
が、ニッパーはカッターナイフ以上に力加減が繊細で、ほんの少し力加減を間違えるだけで動線をカットしてしまいます。
運よくストリップできても中の導線の何本かを道連れにしてしまうこともよくございます。
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電線が細いとちょっと握っただけでカットしてしまったりと、繊細さに欠ける私には鬼門のような工具なのです。

と言う訳で。
ようやく本日の本題。

電線の被覆を剥くならワイヤーストリッパー』を使おう、と。
そういうお話でございます。
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この『ワイヤーストリッパー』、その名の通り電線(ワイヤー)の被覆を剥く(ストリップする)工具でございます。

最も一般的なワイヤーストリッパーは刃に穴が空いております。
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この丸穴がワイヤーストリッパーがワイヤーストリッパーであるためのアイデンティティなのでございます。
この丸穴が有るおかげで被覆の下にある導線を傷つけず、被覆のみをカットすることができるのでございます。
丸穴の横に書いてある数字は、丸穴が対応する導線の太さを表しております。
↑の『PA-06』の場合、左側の2桁の数字はAWG導線の断面積の大きさを表しております。
つまり『AWG30~AWG18』の太さまでストリップできるというわけでございます。
右側の数字は導線の直径を表しております。
簡単に言うと、撚り線をストリップする時は左の表示を、単線をストリップする時は右の数字を参照しましょう。
※『単線』とか『撚り線』についてはここ参照

使い方は簡単。
ストリップしたい電線の太さに合わせて丸穴を選択し、電線をはさみます。
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あとはワイヤーストリッパーを引っ張って被覆を取ります。
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超簡単。
導線用の丸穴は力いっぱいグリップを握っても保持されますので、力任せに握って引っ張っても導線は無事でございます。
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器用さも繊細さもない私でも簡単きれいに電線の被覆を剥くことができました。
労力もストレスもゼロでございます。

ちなみに導線の太さがわからない場合少し太めの所を選んで使用すれば間違いがございません
穴が大きすぎれば被覆は剥けませんが、少し大きいくらいなら引きちぎる感じでストリップできてしまいます。
むしろ小さい穴を選んで導線をカットしてしまう方が問題だと思う次第でございます。

と言う訳でワイヤーストリッパーというのは便利だなぁというお話なのですが、先ほど紹介したハサミ型の他に、見慣れない形のワイヤーストリッパーもございます。

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こんな感じの。
口開けてぽけーっとしてるみたいに見えますが、コレも立派なワイヤーストリッパーなのでございます。
店頭では『ワンアクションタイプ』なんて格好良く呼ばれたりもします。

どうやって被覆を剥くかといいますと、グリップを握ると刃が閉じてスライドして被覆を剥くのでございます。
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カシャン!といい感じの音がするのでなんだかストリップした感が強くて好んで使用する人も多いんだとか。

では実際に剥いてみましょう。
まずは中にある赤い舌のような部分を動かして剥きしろを調節します。
どのくらいストリップしたいか、その長さをこの赤い舌で調節できるんですね。
この機能は結構便利でございます。
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あとは舌の先に電線を当て、グリップをカシャン!と握ります。
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唇は動かず中の刃だけが動くので、被覆を剥きとることができるんですね。

ただし被覆はカットすると言うよりも引きちぎる感じになりますので、剥き跡はあまりきれいではございません。
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唇部分の噛み跡もつきますし。
線が細すぎるとブチブチと中の導線も引きちぎってしまう場合もございますので、ある程度刃の開き具合は調節が必要でございます。
特にこの辺りの性能は値段に比例しますので、ワンアクションタイプとなるとデジットでは★メリーミニストリッパー「VST25」を勧めることが多いとのことでした。

しかしこのワンアクションタイプ、何が便利かと言いますと、例えば平行線。
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↑の場合は10芯のリボンケーブルですが、このワンアクションタイプならまとめて10本ストリップできるんですね。
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要は刃の幅の分はまとめて同じ剥きしろでストリップできるので、平行線にコンタクトピン圧着するときなどはとても重宝するわけでございます。

と言う訳で。
専用工具というのは使い道が限定される分、本来の用途では圧倒的に便利だというお話でした。


みなさんもぜひワイヤーストリッパーで被覆剥きまくってくださいね!



(記事:伊東)
更新予定:毎週木曜日(次回は2月17日です!)