エレショップblog

半導体・センサー・マイコン・電子工作キットほか、各種電子部品の専門店「共立エレショップ」から主に電子工作の関連情報をお届けします。 http://eleshop.jp/

記事担当:
ハンダ付け必要-非マイコン系


明けましておめでとうございます。
今年も頑張って色々な記事を継続して挙げれるよう頑張っていきますので、皆様宜しくお願い致します。

ということで!!
2022年初の記事は、昨年12/10に発売した弊社ブランド「ワンダーキット(WonderKit)」の★「放射温度計【キット】 / IR-TM1」を作ってみようと思います!!!
irtm1firtm1a

このキットの概要はこちら。
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最新の非接触式温度センシング技術をキットで実現
・高性能放射温度計ICを搭載した物体の表面温度を測定する温度計キットです。
・表示器に視認性の良い緑色7セグメントLEDを採用し、対象物の温度は摂氏単位で表示されます。
・表示範囲は0~120℃(0.1℃刻み)です。
・センサーICを含め、実装の難しい表面実装部品はあらかじめ実装済みです。
・オプションのシリアル出力機能を利用する事により、PC等に接続してデータの読取や記録に応用できます。
※本機は組み立てキットです。医療機器ではありません。
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ふむふむ・・・非接触の温度計キット(医療用じゃないYO)ってことですね。
で、なんか高性能らしい
温度も0~120℃の範囲で測ってくれるというし、非接触で温度を測ってくれるのは有難いですよね。
活用できる機会は多そうです。
…ということで、キットを作ってみましょう!!

まずはいつものパッケージチェック
IR-TM1-1-1
今回はブリスターではありません。

部品点数もそこまで多く無い感じ。
IR-TM1-1-2


基板はこんな感じ。
IR-TM1-1-3IR-TM1-1-4
面白い形しています。

裏面には「高性能放射温度計IC」があらかじめ実装されています
IR-TM1-1-5
良かった…!!
こんな高性能でちっちゃい部品、ハンダ付けするの、とっても緊張しますもんね…。

では、作っていきましょう!
まずは、おなじみ抵抗から。
IR-TM1-1-6
今回使用するのは小型の1/4W抵抗。本体はちっちゃいですけどハンダするところの大きさはかわりません。
抵抗は抵抗値別に4種類あります
…写真では色飛びしちゃってて、何色か分かりにくいですね…。
現物も分かりにくいので、がんばって読み取って取り付けしてください。

ということで、取り付けたらこんな感じ。
IR-TM1-1-7


次はスライドスイッチ
IR-TM1-1-8
取り付け方向はあります。
スイッチの軸部分が外側を向くよう設置します。
逆にするとスイッチが入れにくくなるので要注意です。

次は、ICソケット
IR-TM1-1-9
これも、取り付け方向があるんでした。
切り欠きの向きと、基板に描かれている凹みの向きを合わせましょう。

ということで、取り付けるとこんな感じ。
IR-TM1-1-10


次は、セラミックコンデンサ
IR-TM1-1-11IR-TM1-1-12IR-TM1-1-13
面白いのが、部品の足は2本ですが、基板には挿し込む穴が3つあるんです。
説明書に書いているのですが、製造時期によってセラミックコンデンサの足の間隔(ピッチ)が変わるんですって。
なので、足が広い時用と、狭い時用で穴を3つ用意したそうな!
IR-TM1-1-14IR-TM1-1-15
因みに、オカポンの組み立てたキットは、ピッチが狭い方でした。
セラミックコンデンサを取り付ける時は起点になる穴を間違わないように注意してくださいね。
『C1』は記号を上に見て右側の穴が起点です。真ん中か左の穴が未使用の状態が正解です。
『C2』は記号を上に見て左側の穴が起点です。真ん中か右の穴が未使用の状態が正解です。
記号が書いている方の端っこの穴を必ず使うようにしてください。

次は積層セラミックコンデンサ
IR-TM1-1-16
そして、水晶振動子
IR-TM1-1-17
どちらも取り付け方向はありません

ということで、現状こんな感じ。
IR-TM1-1-18IR-TM1-1-19



作業的には約1時間程度。
まだ作業途中ですが、時間が来たので、今回はここまで!
結構サクサク進めることが出来ました。
次回作業の続きに取り掛かろうと思います。


皆さんもぜひ作ってみてくださいね♪

(記事:オカポン)
更新予定:毎週木曜日(次回は1月13日です!) 

記事担当:
ハンダ不要-非マイコン系

クリスマス目前でございます。
今年は暦の関係で今回が2021年最後のブログ更新となります。
普段でしたら1年の締めくくりとして今年を振り返るような記事を書いても良かったのですが、まだクリスマスも終わっていないのに1年を締めるのも早い気がいたしましたので、普通に工作記事をお届けいたします。

さて、★先々週の記事LEDの光らせ方を記事にいたしましたところ、思いの外好評でございました。
オームの法則についてよく解らなかったが使い方がわかったので助かった、というような感想もいただきました。

L_chika22


さてそんな中で、LEDを光らせる時に『定電流ダイオード』と言う単語がよく出てくるようで、その『定電流ダイオード』の使い方について解説してほしいという要望をいただきました。

と言う訳で本日は、なんだか分からないけど超便利らしい『定電流ダイオード』について簡単に解説してみたいと思います。

CRD01
はい、↑が『定電流ダイオード』でございます。
具体的には★「E-153」と言う商品でして、その名の通り決まった電流(今回の「E-153」であれば15mA)を出すことができる部品でございます。
もちろん出力する電流によって沢山の種類があるのは抵抗と同じでございます。

この『定電流ダイオード』につきましては、『決まった電流を流す』と言う部分に理解が及ばず、結局正体がわからないので敬遠する、というのが普通の反応なのではないかと思います。
なので今回も技術的な説明はいたしません。
使い方に絞って解説をいたします。
語弊のある言い方になりますが、ここでは『入力電圧に関係なく一定の電流を流すことができる部品』と憶えていただければと。

では早速使い方を見ていきましょう。
『定電流ダイオード』の使い方につきましては、シリコンハウス店頭で配布している資料がわかり易く簡単でございます。

CRD02

回路的には抵抗の代わりに配置するだけ。
たったこれだけでございます。

あら簡単。
『定電流ダイオード』さえ有れば抵抗いらず、つまり面倒な抵抗値の計算がいらないのでございます。
超便利!

でも本当にそんなうまい話があるの?とお思いでしょう。
もちろん裏はございます。

ただ、その裏は大した裏ではなく、ちょっとした注意点さえ守れば良い程度のものでございます。
ひとまず注意点の話は置いといて、実際にLEDを点灯させてみましょう。

今回は★12VのACアダプタを用意いたしました。
前回同様ブレッドボードで組み立てると↓になります。

CRD03

そのまんま、抵抗の代わりに『定電流ダイオード』が刺さっているだけでございます。
ここにACアダプタをつなげると
CRD05
この通り。
ちゃんと点灯いたします。
3Vで点灯するLEDに対して12V突っ込んでいますが、なんの問題もございません。
ちなみにACアダプタを9Vや24Vに変更しても回路を変更する必要はございません。

改めて思いましたがホントに簡単ですね。
面倒な計算もなしにつなぐだけ。楽ちんポンがシャッキリポンでございます。

先程は青色LED(3V)を点灯させましたが、続いて赤色(2V)も点灯させてみましょう。
CRD06
面倒なので青色はつなげたまま。
電源に対して並列に青色LEDと赤色LEDを配置して、それぞれに同じ『定電流ダイオード(E-153)』をつなげております。

ここに電源を接続すると
CRD07
なんの問題もなく点灯いたします。

いやはや、ただ繋ぐだけなんて、こんなに楽をしてしまって良いのかしらと罪悪感を抱くほど。
こうなってくると『定電流ダイオード』の裏というのがいよいよ気になってきてしまいますね。

ではその裏、と言うか注意点を発表いたしましょう。
 1.電圧に気をつける
 2.極性に気をつける
の2点でございます。

どこかで見た注意点ですね。
はいそのとおり、LEDの注意点と同じでございます。
『定電流ダイオード』もダイオードの仲間ですので、注意点も同じようなものになるのでございます。

さてその注意点。
まず『電圧』についてですが、『定電流ダイオード』の電圧はLEDで注意した電圧とは違います。
LEDの場合はLEDにかかる電圧を一定以上にしてはならない、と言う注意でした。
しかし『定電流ダイオード』で注意する電圧というのは、決められた範囲内で電圧をかけなければならない、と言う注意でございます。

この『決められた範囲』を下回る電圧ではスペック通りの電流が出なくなり上回る電圧では『定電流ダイオード』が壊れてしまいます

↑のシリコンハウスで配布している資料では『DC10~24V』と書かれています。
LEDは概ね2~3V程度で点灯するのに10V以上電圧をかけないといけないってどういうこと?ってなりますよね。
じつはこの『定電流ダイオード』、自分も電気を使うことで一定の電流を出すことができるようになるんです。

メーカーの資料によると、『E-153』は4.6Vの電圧をかけるとだいたい80%以上の能力を発揮すると書かれております。
注目する部分は『肩特性 Vk』の部分でございます。
また、『最高使用電圧』は25Vと書かれておりますので、『E-153』を機能させようと思うと4.6~25Vの範囲で電圧を掛ける必要があるわけでございます。

しかしシリコンハウス配布の資料では『10~24V』と書かれています。
なぜか。
まず電圧の下限である10Vについて見てみましょう。

先程見ました『肩特性 Vk』の値は『定電流ダイオード』が使用する電圧でございます。
で、LEDを光らせようと思うとこの『Vk』に加えてLEDの電圧も必要になります。
青色や白色を光らせるなら3V程度、赤緑黄色を光らせるなら2V程度必要になります。
例えば青色LEDを1個光らせるとすれば、

 4.6+3=7.6V

必要になるわけです。
ただ、『定電流ダイオード』にかける電圧は4.6Vで80%以上と書かれておりますので、実際にはこれより大きい電圧をかけないと『定電流ダイオード』は十分に機能しない訳でございます。
なので、電源の電圧は大きめを見て10Vとしている次第でございます。

実際に使用する際はACアダプタが使いやすいので、9Vとか12Vとかの電源使用をオススメいたします。

で、電源電圧の上限が『24V』と書かれているのは、『最高使用電圧』25Vに最も近いACアダプタの電圧が24V品だから、と言う程度の理由でございます。

次に極性について
これはもう、LEDと同じで電気が流れる方向がある、というだけでございます。
他のダイオードと同じように、本体に線が入っている方がマイナス側になります。
CRD04
シリコンハウス配布の資料にも書かれている通り、本体に線の入っている方がLEDの長い方の足につながる、と覚えていただければ十分でございます。

と、まぁ、『定電流ダイオード』を使用する上での裏というのはこの程度でございます。
まとめると
 1.抵抗を使用する時よりも高い電圧が必要になる
 2.抵抗と違って取付方向がある
と言ったところです。
電圧に関しては電池で駆動させようとすると電圧不足になる場合が多いので、モバイル仕様などコンセントから電源供給ができない環境での仕様は難しくなります。
取付方向については「ついうっかり」が発生した時、結構凹むことになります。

あと、最大の問題点は
 3.抵抗よりも圧倒的に高価である
という点。
抵抗に比べれば10倍以上の値段になりますので、数を使用するとその分コストが上がります
逆に言えば多少の出費を気にしないのであれば圧倒的な利便性を享受できます。
偉い人も『時間と労力は金で買える』と申しておりましたが、まさにその言葉を体現する部品という訳でございます。


みなさんもぜひ商品名に臆せず利便性を享受してくださいね!




と言う訳で。
今回も少し蛇足を。

前回は抵抗を使わずにLEDを光らせる荒業(笑)を紹介いたしましたが、勿論『定電流ダイオード』でも複数のLEDを光らせることはできます。

CRD08
↑では4色のLEDを直列につないで光らせています
この場合の注意点としては、
 1.使用するLEDの電圧と定電流ダイオードの電圧はすべて足し算になる
と言うところ。

今回の場合、青・赤・白・緑を点灯させていますので、LEDだけで10V使用しています
しかし電源の電圧は12Vなので、定電流ダイオードにかかる電圧は4.6Vよりももっと低くなります。
そうなると定電流ダイオードから出てくる電流も小さくなりますので、LEDは全体的に暗くなってしまうんですね。

まぁ今のLEDは性能がいいので、多少電圧が低くとも、多少電流が小さくともそれなりに光ってくれます。
なのであまり気にしなくても良いかもしれませんが、十分な電圧が確保できない状況であれば、わざわざ高価な定電流ダイオードを使用する意味もないよなぁ、って思う訳でございます。

なので定電流ダイオードは状況に応じてご使用ください

(記事:伊東)
更新予定:毎週木曜日(次回は1月6日です!)

記事担当:共立プロダクツ
ハンダ付け不要-マイコン系


今回は素材の紹介から...

sigfox-logoBRKWS01-1

Sigfox(シグフォックス)Breakout board (BRKWS01 RC3)
https://eleshop.jp/shop/g/gJAN311

小さな基板と、アンテナがセットになっています。おもちゃのトランシーバーみたいなアンテナですね。
しかも乾電池2本だけで、数キロメートル以上も離れた基地局と通信するんだとか。
スマートフォンと同じで、基地局1ヶ所に対して多数の端末がつながる形です。
つまりトランシーバみたいに2台が相互に通信するのではなく、1台だけで使います。

図1
出典: 京セラコミュニケーションシステム説明資料 - 総務省


使われているのはLPWA(Low Power=省電力、Wide Area=広域エリア)という名前の通り、低消費電力で広い領域(キロメートル単位)を対象にできる無線通信技術だそうです。

じゃあ、スマートフォンと何が違うのでしょうか?
まず信号を送るスピードが遅いらしく、いわゆる4Gの「20万分の1」位とか!
これでは動画どころか、「もしもし」と一言、声だけ送るのにもいったい何分かかるんですか?といったレベルです。

それにもまして、1回で送れるデータ量が「12バイト」とか... 12ギガじゃないですよ、その「1億分の1」ですよ。
これでは「もしもし」の「も」の声だけでも無理っぽいです。

おまけに1日あたり140回までという制限もあって...

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でもがっかりしないで下さい。世の中、欲張らなければこれで充分って事もたくさんあるんです。

例えば...

 玄関先のポストに何か届いてる?
 部屋の電気がつけっぱなしになってない?
 暑かったり寒かったりで家のペットは大丈夫?(うちのペットは、まだ「アレクサ!」としゃべれません)

実用化されている例では、
 畑を荒らすイノシシが、仕掛けた罠に入ったかな?
 出荷間近の果物ビニールハウスに夜中、不審者が近づいていない?

などなど、離れた所で今何が起こっているか、少しだけでも知りたいなら、この程度のデータ量でもまかなえそうです。
そう、田舎の母さんが湯沸かしポットを押すとメールが届いて安心、っていうのと同じ感じです。

送れるデータ量や回数は、とても充分とは言えませんが、できる限り多くの機器を安価につなぐ為の割り切りなんでしょうね。
さすがフランス生まれのSigfoxだけあって、エスプリを感じさせますね。

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もちろん同じような事は、安いスマートフォン使えばできそうなんですが、月々の携帯料金も気になりますし、
なにより電池2本で1年間くらいは充電しなくても働いてくれるっていうのが有り難いですね。
特に家から離れた場所だと、コンセントがないことも多いですし。



実は、当社でも実際に稼働しているモジュールがありました!

新しもの好きなスタッフが、ちゃんと電波が届くかの実験しただけで終わったのですが、年間ライセンスの残りがもったいないので会社のトイレ個室が空いているか判る装置にしたそうです。
いわゆるIoT(インターネット・オブ・トイレ)ってやつです。

写真2

上の方にSigfoxモジュールとアンテナ、その下のICはモジュールにデータを送り込むPICマイコン、それに単3電池2本です。
白い線の先につながっている灰色の部品はリードスイッチで、ドアの端につけた磁石(灰色)に反応します。
(写真はドアが閉まっている状態です)
マイコンのプログラミングが必要ですので詳細は省きますが、ドアが閉まったり、開いたりしたタイミングで電波を送信します
ドアの動きがない時はほとんどパワーを消費せず、1日数十回のトイレ使用でも 1年位は電池交換不要だとか。
電池の電圧も送信データに乗せているので、交換時期がわかるらしいです。

写真3

ちょうどビルのトイレには、外を望める大きな窓がありましたので、基地局との通信も問題ありませんでした。

さて、トイレの空き状況はスタッフ各人のパソコンから確認できるようになっています

図2図3

(ここまで仕立てるにはWebサーバ等、それなりの設備が必要になります)


なお、簡単にモジュールの機能を試したいだけであれば、基地局が電波を受けると「メールが来る」という設定もできます
(Sigfox運用会社が用意したポータルサイトで行います)

少なくともメールが使えれば、独自にWebサーバを立てなくても、外部サービス(IFTTT[イフト]など)との連携も難しくありません。
たとえば誰かが個室に入ると、離れた場所のLED電球が赤く光ったりとか、いろんな応用が考えられます

なお、今回は予算と時間の都合で実際には試せませんでした。すみません。

以上、思ったより気軽に使える電波モジュールのご紹介でした。


最後にちょっと、ご注意の補足です。
・モジュールの代金には1年分のライセンスが含まれていますが、2年目から継続してサービスを使うためには年間約1,000円(2021年12月現在)の追加料金がかかります。
・サービスエリア内であっても、場所(特に建物内)によっては充分な強さの電波が届かないため使用できないことがあります。
・今回紹介したモジュールは、本体だけではデータを送信できないタイプで、実際には外部に接続したマイコン等からの操作が必要です。
・日本国内ではSigfoxネットワーク運用を 京セラコミュニケーションシステム株式会社 が行っています。
 Sigfoxについての詳しい解説や使用事例、技術情報は https://www.kccs.co.jp/sigfox/ にてご覧いただけます。


担当:池

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